電気もガスも使えない幽霊屋敷で1ヶ月。魅惑の家賃500円生活。

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イラスト アシスタント時代のゾーン
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高校を卒業して、就職する事が決まり。

本社が八王子にある会社に入社して、その後に30近くある店舗のうちのどこかに配属となる。

まず始めに新人研修というのを受けて、その後に配属先の発表という流れ。

その中には、千葉や新潟といった遠方もあり。

どこになるのかとヒヤヒヤしながら発表を待つ。

今日はその当時に、ある出来事でゾワっとした話。

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配属先

社訓」を河原で喉の声帯が吹き飛ぶぐらいの勢いで叫び続け、50メートルほど離れた場所にいるお偉いさん方に何度もシャウトしてそれでもOKがもらえない。

10人ぐらいの同期である研修生が次々に叫ぶ。

叫ぶというより、まさにシャウト。

喉はガラガラで完全にやられてる。

何が基準なのかもわからぬまま、ギャラリーも集まる中、ただひたすらに叫んでOKが出るのを待つ。。笑

そんな5日間にも及ぶ地獄のような新人研修を終えて、ようやくその時。

(一応、当時の会社の名誉のために言っておくけど、ただのシャウト研修ではなくて、社会人として最も大切なことをピシッと教えて頂いた5日間。大変よい研修であったと思います。。笑)

「お前は福生だ!」「新しく福生にお店がオープンするからオープニングで行け!」

そんな社長の一言で福生のお店に配属されることに決定。

通勤

よし、そうと決まれば早速次の日から福生のお店に出勤することになるんだけど。

でも、俺が配属された福生のお店はまだオープンしてなくて、色々と準備をしてこれからオープンって状態。

他の同期達は既にある店舗で早速美容師見習いとして勤務。

そしてそして俺はといえば、その当時横浜に住んでいて、地元がそっちだったから「福生」って何?みたいなレベルでどこにあるかも知らずで、立川でさえ曖昧。。

横浜〜福生」で乗り換え案内を調べてみると通勤に2時間ぐらいかかって、乗り換えも3回〜4回もある。

営業が終わってから練習して、朝も営業前に来て練習するのが特に最初は当たり前なこの業界。

始発に終電コースの毎日が続くと思うと「こりゃーしんどいなー」となって、一人暮らしをする事を決めたんだ。

借金

でもさ、そうは言っても金がない訳。

家を借りるにももちろん金が必要だから。

親父にはそれまでもかなり無理させてたし、社会に出たからには自分でなんとかしたいと思って、社長にお願いしに行った。

「家を借りたいので敷金礼金を貸してください。」

「必ず返します。毎月の給料で分割でお願いします。」

社長は快く承諾してくれた。

家賃、敷金、礼金、その他諸々でかかる諸費用20万円を即座に貸してくれた。

物件

ちょうどその時、たまたま見てた不動産屋の物件で、風呂とトイレが別でワンルームアパートのいい物件が出てて。

中も見ずにほぼ即決で不動産屋さんに言った。

「ここを今すぐにでも借りたいんですけど。。」

「あぁー、ここねー。。いいんだけど、今はまだ人が住んでてね。引き渡せるのが1ヶ月後になるのよ。」

「マジかー。。」ってヘコんでたんだけど、その不動産屋さんも神様のように優しくて。

横浜からの通勤で2時間かかる事や、美容師での練習やらの話をしたら事情を理解してくれて、「一ついい話があるわ」って言って俺に提案をしてくれたんだ。

その提案ってのはこうだ。

「一個うちの物件で今現在空いてる物件があるの。そこなら住みたい家が空くまでの1ヶ月使ってもいいわよ。ただ、電気とガスは通ってないからつかないけど。それでよければ1ヶ月500円でいいわ。」

「マジかよ!おばちゃん!いや、お姉さん!!お願いします!!」

間違いなく即決。

魅惑と曰く

で、実際に内見をしに現地へ。

不動産屋から距離は近く、数分歩いた先に突如その場所は現れた。

「ここよ!」

ボ、ボロい。。。

マジでボロい。。。

しかも見た目なんかヤバそうな雰囲気ムンムンな佇まいのそのアパートは、予想的中な曰く付きだった。

2回建ての作りで、それぞれに3部屋。

形は普通だが、見た目は異質。。

俺が借りる部屋は1階の真ん中の部屋。

その部屋を外から見ながらおばちゃんが言うんだ。

「ちょっとさっき言うの忘れたんだけど、実はここね。2ヶ月前に上の人が首吊り自殺しちゃってね。発見も遅くて色々大変だったから周りの人もいなくなっちゃって。でもいいわよね?」

「おーい!!それ早う言わんかーい!」って言葉を、心ん中で新人研修の河原の時並みに叫んだよね。。笑

心の中でね。。

でも実際他に見てる時間も無かったし、何より家賃が500円ってのに惹かれて即決。

感謝

次の休みに友達に車を出してもらって、荷物を全て積み込んで。

オンボロアパートに俺一人の生活が始まるんだ。

幸い俺には霊感とやらの特殊能力は備わってなくて。

住んでる間に霊的な何かを見たとか、奇妙な現象が起こるみたいなことはなかったけど、流石に自分が住んでる部屋なのに夜中のトイレに行くのが少しビビるってのはあれが最初で最期であってほしいな。。笑

無事に荷物も片付いて、徒歩10分で職場まで行ける環境を手に入れた俺は、美容師のアシスタントとして日々練習。

家のガスが繋がってないから、チャリで10分ぐらいの場所に銭湯を見つけて。

その銭湯が23時までだったから、お店の先輩とかにも「銭湯が閉まるんで帰ります!」って言って銭湯までダッシュ。

銭湯にも無理を聞いてもらって、23時に入って23時30分までいさせてもらったり。

今思えば本当に色々なところで色々な人たちに助けられてるんだよね。

これを書いてる今も、あの頃の事を思い出しながら、本当にありがたかったなーってしみじみ思う。

1ヶ月後、無事に本来住みたかった家が空いて、500円玉をおばちゃん。。いや、お姉さんに渡して即座に引っ越した。

新しい家はキレイで、電気も水もガスもある。

銭湯に行かなくなったらそれはそれで少し寂しかったけど、やっぱ家の風呂がいい。

そんな美容師ライフ初期の話。

本当に、皆様に感謝の日々だった。

ありがとう。

life is freedom…

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